ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「人体模型のロッテンマイヤーちゃんの手を握ったとこぐらいからかな~」
『覗き見ですか?』
「覗き見じゃないわよ。あなたの病院にいる・・・レイナ命のあの、なんていったっけ?いつか、ウチの院長室に乗り込んできて、“レイナがここで働くならオレもここで働く” って確か整形外科の・・・」
『森村ですか?』
「そうそう。森村!!!!・・・・ヤツにはあたしは盗み聞き女って不名誉な呼ばれ方してるけど?」
『・・・・・・』
“覗き見じゃなくて、盗み聞きしていたんですか?!”
といちいち確認するのは馬鹿馬鹿しいと思った俺はとりあえず聞き流した。
“ヤツは相変わらずらしいわね。美咲から聞いてるわ” と言いながら、奥野さんは人体模型と俺がいるほうに近づいてきた。
「しばらく、ロッテンマイヤーちゃん、使わないから、ウチに持ってく?」
『・・・いらないです。』
「予行練習以外にもいろいろ使えるわよ。ロッテンちゃん。」
『間に合ってますからいらないです。』
しまった
誘導尋問にハマった
今更だけど、今の、聞き流してはくれないだろうか
「無理させないでよ、伶菜ちゃんに。わかってるとは思うけど。」
『・・・・・・・・・』
今度は反抗できなかった。
無理させてるかもしれないから。
できればやめておいたほうがいいとわかっていながらも
伶菜に “(エッチ)・・・する?” と聞かれると
つい流されてしまう弱い俺がいる
彼女の体温で癒されたい
そんな身勝手な俺も・・・・
「やっぱり、所詮、盛りのついたオスってわけね。」
『・・・・・・』
「いいんじゃない?素直でさ。昔の日詠クンは計算しすぎなとこあったし。それに、伶菜ちゃん、いい表情してるしね。」
ひざ立ち姿勢のままの俺を意地悪な笑みを浮かべ見下ろした奥野さん。
恥ずかしさももちろんあったが
第三者に伶菜がいい表情していると言われたことで気持ちが少し軽くなった気がした。
「ついでに、家族だから伝えるけれど・・・」
『えっ?』
“家族だから伝える” のたった一言。
それは自分も医師として向き合う相手に使ったりもしていることもあって
軽くなったはずの気持ちがその一言でひっくり返されたような感じがした。