ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's eye ケース23:シアワセの足跡
【Reina's eye ケース23:シアワセの足跡】
ナオフミさんと一緒に参加できた両親学級。
講義中の奥野先生と彼のやり取りは
イジる先輩奥野先生に
イジられる後輩ナオフミさん
・・・・私が知っているふたりそのもの。
そのやり取りは
私の中で燻っていた “彼らがキスをしたという事実” を
過去のことにしてくれた。
だからもう迷うことなく
ただまっすぐに彼のことがスキでいられると思えた。
産科医師という立場であるにも関わらず
それに驕ることなく周りにいたお父さん達と同じように
両親学級の講義をしっかりと聞いている彼。
祐希のいい父親でいてくれるのに
新米パパのように真剣な眼差しで人体模型に向き合っていた彼。
また新たな彼を知ることができたことが嬉しくて。
『新笠寺駅のホームに、あの時・・・偶然居合わせてくれた人がアナタでよかった・・・そう思ってる。』
ついそう口にしてしまったぐらい、彼に出会えたことにも感謝した。
でもなぜか目の前にいた彼はどこか複雑そうな顔をしていて。
『ナオフミさん?』
「ああ。・・いや、俺でよかったのかな?」
謙虚な彼らしい反応だと思った。
『えっ?!もちろんだよ~。今、すごく幸せだもん。ナオフミさんに出会えたからでこそだと思ってる。』
「・・・そうか。ありがとな。」
いつもの彼の “ありがとな” はもっと照れくさそうに言う。
けれどもこの時の彼の “ありがとな” は
どこか申し訳なさそうなものだった。
その時、頭を過ぎった。
彼が私の主治医をやり続けられないと言ったあの日の表情が。
そして
今回の妊娠で奥野先生に主治医を依頼したことで
彼があの頃のことを想い出しているのではないかということも。