ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Okuno's study カレとカノジョが辿り着いたトコロ
【Okuno's study カレとカノジョが辿り着いたトコロ】
*日詠の先輩医師:奥野目線
その時は突然やって来た。
「奥野先生!!!!!」
『今、緊急で診察中!!!!!』
自動車追突事故に遭い救急車で運ばれてきた妊娠6ヶ月の妊婦に対し、ER(救命救急センター)で胎児エコー(超音波検査)を行っていた時だった。
「わかってます。でも、小野寺先生と交代して、分娩室に来て下さい。」
『何かあったの?』
「日詠さんの分娩が始まったのですが、すぐにとんでもない量の出血が・・・・・」
『・・・・わかった。』
「小野寺先生が来るまで、ここで私が待機します。」
『頼むわよ。』
エコーのプローブを本体に差し戻しながら、とりあえず意識はしっかりしていた目の前の妊婦さんに簡単に事情を説明した上でその場を離れた。
伶菜ちゃんの身に起きているらしいとんでもない量の出血。
いろんな原因が頭を駆け巡って。
とにかく命に関わる危ない状況であると肝に銘じ、産科病棟まで繋がる廊下を駆け抜けた。
「奥野先生、日詠さんのご主人、立ち会って下さっています。」
『わかった。』
分娩室の前で竹中師長と合流し、ディスポーザブルガウンと手袋を渡された。
それらを装着しながら考えていた。
もしかしたら日詠クンが動いてくれているかも・・・・と
2人で対応すれば、絶対乗り切れる
そう言い聞かせ、前に進んだ。
『・・・どういう、、こと?』
でも、目の前に広がった光景は
全く異なっていた。
真っ青な顔でひざ立ちをしたカレが
血の気が引いているカノジョの手を握ったまま
じっとカノジョを見つめていた。
言葉も発することなく。
表情なんてものもなく。
ただ茫然とカノジョを見つめていた。
『・・・伶菜ちゃん!!!!』
ドクターとしての自分が動いた。
まずは自分の担当患者であるカノジョ・・伶菜ちゃんの名を叫んだ。
どうしても救わなきゃ・・・・
まずは自分が動かなきゃ・・・・