ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「奥野先生!!!!!カート準備しますか?」
『今すぐ!!!!!』
「牧野さん、カート、大至急!!!!!」
「ハイ!!!!!!」
助産師に指示を出した。
カレにも聴こえるぐらい大きな声で。
「日詠クン!!!!!」
それでも、反応がないカレ・・日詠クンを
何とかしようと思ってカレの名も叫んだ。
伶菜ちゃんが本当に望んでいるのは
カレに産科医師としての自信を完全に取り戻して欲しいこと
それなんだと思う
カノジョの1人目のお子さん・・・祐希クンの時
日詠クンがカノジョの主治医を降りることを告げた際、
降りないで欲しいと懇願したのはカノジョだった
それでも日詠クンは
カノジョと祐希クンのためを想って、自分を責めながら主治医を降りた
そのことも伶菜ちゃんはわかってる
それによってカレが自信をなくしたことも・・・・
「日詠クン!!!!!!!!!日詠クンってば!!!!!!」
それを取り戻すにはリベンジしかない
日詠クンの手で伶菜ちゃんを救うこと
・・・・それしかない
そう思った。
だからカレを必死に呼んだ。
でも
日詠クンの瞳には
いつものような
患者さんに向き合う時のような力が
まったくない。
ダメだ・・・・
このままカレが
医師としてカノジョを救おうとするのを
待ち続けたら
カノジョは息を引き取ってしまう
このままじゃ
間に合わない
このままじゃ・・・・
「奥野先生、指示を!!!!」
『絶対に乗り切る。・・・・師長!!!! ガーゼ、あるだけ持ってきて下さい!!!!!』
「奥野先生、クロスマッチは?」
『そんな時間ない!!!!! 血液型がカルテで確認できれば、それを!!!! 確認できないのなら採血後、結果が出るまでO型血液で輸血!!!! エコーも持ってきて!!!!!!!』
「牧野さん、採血!!!!!」
「臨床検査室にも一報入れます!!!!!」
『小児科ドクター、誰でもいい。すぐに呼んで!!!!! NICUのナースも!!!!!』
だから私はこの時、
産科医師としてのカレを見切って
再び自分で動いた。
今、自分が伶菜ちゃんを救わないと
日詠クンも救えない
もし伶菜ちゃんがいなくなったら
日詠クンはもう生きていけない
そんな気がしたから。