ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活




看護師の叫び声によって
一瞬、時間が止まったような気がした。

日詠クンは手に持ったままだった除細動のパドルをぶら下げ
両肩を揺らしながら大きく息をついている。

心電図上で命に関わる不整脈は凌ぐことができた。
その後、子宮の出血もなんとか止めることができた。


『分娩は・・・』


分娩は終わった。
羊水塞栓症という危険な疾患かもしれないハイリスクな分娩は。

生まれてきた新生児はタイムラグなしでNICUへ向かった。
呼吸をしていなかった状態だけど、経験豊富な橘先生ならきっと新生児をリカバリさせられるから大丈夫だと思った。




それでも
カレの表情が晴れなかったのは


「伶菜・・・・・」


カノジョの・・・
伶菜ちゃんの・・・意識が戻らなかったから。




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