ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『最善を尽くすって・・・どうやればよかったんだろうな・・・』
その答えを探すように自分の手を見つめても
何も浮かんではこない
その手を額に充ててみても
何も変わらない
再び靄がかかった頭の中
ただ床を見つめて時間が過ぎるのを待つしかなかった。
「羊水塞栓症・・・まったく頭になかったわ。まさかっ・・・てね。」
待合室の入口のほうから奥野さんの声がこっちに近づいてくる。
「三宅教授にも状況を詳しく伝えたら・・・・まだ血清上でのデータ結果は出てないけれど、臨床症状から考えると、おそらく羊水塞栓症だろうって・・・」
『・・・・・』
その声に促されるようにソファーに腰掛けて俯いたままだった自分の頭を上げた。
「コレ。陣痛室に忘れてたみたい。」
見覚えのある紙袋を差し出された。
受け取ってようやく中身を確認すると
クリーニングされたばかりであろう白衣が入っていた。
『コレ・・・白衣だったんだ。片平さんに渡されたんだった。』
「さすがね、片平サン。敏腕秘書ぶりは相変わらずで。」
片平さんはこうなることを見抜いていたんだろうか?
夜、冷えないようにと渡された白衣が
俺が医者として立たなければならないことが起きると暗示していたみたいだ
でもその白衣の存在を気にかける前に
伶菜の気持ちがちゃんと聞こえた
どんな時でも
俺に医者であって欲しいということ
どんな患者でも
俺に救って欲しいということ
『なのに、俺、、、、何やってるんだろう?』
だからこそ
救ってやりたかった
安心させてやりたかったのに・・・