ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
その翌日。
当直業務もなく、外来診察も手術の予定も入っていなかった日曜日。
オレは伶菜のお見舞いに出かけることにした。
病院は出産前に無理矢理レイナから聞きだしていたが
出産後は連絡を取っていなかった。
それもオレなりの気遣いで。
お産後のお母さんは
夜中も赤ん坊におっぱいをあげてるって話だから
眠っている時間に電話して起こしたら負担になってしまう
そう思った。
『頼むからレイナに似ていてくれよ~。』
レイナのいる病院に向かう途中、名古屋駅周辺で車を停めた。
『お見舞いってどんなものがいいんだろか?』
オレの生まれる前から名古屋駅の隣にそびえ立っているらしい百貨店に寄ってみた。
鼻をつんざくような香水の匂い
女性雑誌からそのまま飛び出してきたような店員達
足を踏み入れたエレベーターで利用階数を尋ねてきたエレベーターガール
子供で連れで溢れかえっているフロア
全く縁がないこの場所にいた理由
それは
『男の子か女の子かわからないんだけど、そういう場合ってどれ選べばいい?』
オレなりに嬉しい気持ちを届けたい
その一心だった。
店員に勧められるまま購入した品物が入った紙袋を受け取って再び車に乗った。
「レイナみたいな女の子だったら、オレの御眼鏡にかなったヤツしか嫁にはやらん!!!!って言ってやるからな~。」
助手席に置いた紙袋を見つめ、そう唱えてからアクセルを踏んだ。
日曜日だったせいか道路は比較的空いていて。
他の面会者らしき人の後を追うように病院の中に入った。