ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『そうそうオレ!!!どうせこっちに来たって仕事にならん。美咲ちゃんのほうがよっぽどいい仕事するから・・・っていうか、いい仕事させる。』
{美咲に?!}
それでも元々は頭のいいオンナ。
『アイツも伶菜に借りがあって、恩返ししたいと思ってる。だから何がなんでもやるさ。』
{・・・そうね。美咲に困ったことがあったらまず私に電話してと伝えて。}
彼女はオレの言っていることをすぐに理解し、すぐさま段取りをつけた。
『おう。任せとけ。』
{頼んだわよ!}
やっぱり頭のいいオンナ。
産婦人科にとって明らかに関係者以外なオレを
すんなりと巻き込むぐらい。
『そっちもな。盗み聞き女・・・じゃなくて奥野センセ。』
{その汚名を返上できるように私も頑張るわ。}
『楽しみにしとる。』
大切なふたりに
自分がしてやれそうなことがようやく見つかった俺は
勢いよく通話終了ボタンを押した。
「おい、そこの・・いつも生意気な口ばかり叩いているって噂の・・・」
なぜか奥野さんとの通話を終えるのを待っていたらしい産婦人科部長。
奥野さんと話していた彼の携帯電話をオレから奪い返して
オレを激しく睨んだ。
この人がそう来るのなら話は早い
どうやらこの人に丁寧に頭を下げる必要とかなさそうだな
『森村です。整形外科の。』
病院医局内では間違いなく上司にあたる人間に
オレは鋭い視線を向けた。
「そうそう、矢野んとこの若造だ。なんでお前が産婦人科のことに首を突っ込んでくるんだよ。」
このタヌキ腹おっさんはとげとげしくオレの上司の矢野先生の名を呼んだ。
『日詠さんのワイフ(妻)であり俺の妹でもある女が瀕死の状態なんで。何か文句ある?』
「妹?・・・聞いたことないな。」
またギロリと睨まれたけれど
それぐらいでオレはちっとも怯まなかった。
『アンタ、俺に興味なんかないから聞いたことないんだよ。彼女を溺愛しまくりなオレは整形外科では有名。矢野先生だってバッチリご存知。だから、口出しさせてもらう。』
「冗談じゃない!」
『聞けよ。アンタも関係するんだから。』
「は?俺もか?」
タヌキ腹のおっさんが顔までタヌキっぽく見えるぐらい
彼は明らかに間抜けな表情をしていた。