ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『伶菜が生まれた時もこんな感じだったっけな。』
7才だった頃の自分の記憶が蘇る。
お袋に伶菜を手渡され、恐る恐る抱きかかえた
予想以上の重さに驚くとともに
命の重さと
妹という存在ができた嬉しさを
自分の手で感じ取った
俺が彼女を守ってやると
心の中で初めて誓った瞬間だったことも覚えている
今、腕の中にいるのは
妹ではなく娘だけど
命の重さ
自分が守ってやらなくてはならない
という気持ちを再び感じた。
『軽いけど・・・重い・・・』
3000グラムにも満たない体なのにとても重く感じた。
彼女の小さな口が何かを探すかのようにかすかに動いて。
『お母さんと一緒に来れなくてゴメンな。』
彼女もレイナを探しているようだった。
彼女だけでなく、福本さん宅で預かってもらっている祐希も。
そして
直ぐ傍にいるはずの俺も。
「もしもし、パパ?」
『・・・・祐希、おりこうにしてるか?』
NICUでの面会が終わり、ICUでのレイナの処置待ちの時間。
夕焼けの空を眺めながら、病院ロビーで電話をかけた。
「うん♪おりこうさんだよ!ママとあかちゃん、げんき?」
『・・・元気だ。ふたりとも頑張っているから、もうちょっと待っててくれな。』
電話の相手は祐希。
まだ幼稚園児の彼は感染予防目的で面会が許可されていないため、福本さんや彼女のご家族に預かってもらっている。
「うん♪ ママもあかちゃんも・・・ボクといっしょ。」
『・・・ゴメン。』
やっぱり淋しい想いをさせている
だけど謝るしかできないと心が痛んだ。