ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活





「パパ、わるいことしてないときはゴメンいわなくてもいいんだよ。」

『・・・でもな。』


「ボク、あかちゃんのとき、すごくがんばったんだよって・・・ママがいってた。」

『・・・・・・・・』



電話口で泣きそうになった。
伶菜が大切に育ててきた宝物の祐希が
俺の背中を押してくれようとしていたから。


「パパ?」

『・・・・おぅ。』

「つぎパパも。」

『・・・・そうだな。頑張るな。』


生まれた時から先天性心疾患(生まれ付きの心臓病)を抱えて生きてきた祐希だからこそ
わかるんだろう
病気に立ち向かうには、いろいろな人の支えが力になるということを・・・



『頑張って、ママと祐希の妹を応援するから。』

「ボクも!!!!!」

『ありがとう・・・頼むな。』

「うん♪」


通話を終えた後、また堪えなられなくなった。
涙を拭う指はなかなか乾かない。


幼い頃から、
泣くこと=自分が弱くなる
泣くこと=まわりに心配をかけてしまう
という概念が頭の中にあったから

これまで泣いたことは両手で数えられるぐらいしか記憶がないのに


『ダメだな・・・祐希も頑張ってるんだから、しっかりしなきゃな。』


一緒に頑張ってくれる家族がいることを実感した今
本当に心強くて涙を堪えられなかった。


そんな中
まだ手の中にあった携帯電話がブルブルっと震えた。


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