ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
画面には“名古屋南桜総合病院”の文字が浮かび上がった。
もう3日も休ませてもらっている
レイナや生まれたばかりの娘のことが心配だけど
自分の担当患者のことも考えなくてはならない
それが医師という仕事
『もしもし、日詠です。』
「もしもし、私だ。」
『・・・部長。3日も病院を空けてしまって申し訳ありませんでした。』
「いや。いい。」
『明日は通常通り、出勤しますので。』
そう言い終えた後、腕時計を見た。
ちょうど伶菜の処置が終わるぐらいの時間だった。
部長の電話はこのまますぐに切れるはず
“じゃあ、明日からまた頼むな” の一言で終わる
そう踏んでいたのに
「奥さんの容態はどうだ?」
『・・・まだ。意識が戻ってきていません。』
何があっても仕事第一を部下にも求めるという彼なのに
彼のいつもの態度が感じられない対応に少々驚いた。
「そうか・・・わかった。また、出勤できそうな状況になったら電話してくれ。」
『・・・あの・・・明日から・・・』
「意識が戻っていないのに、出てこなくてもいい。」
「・・・ですが・・・・」
やっぱり部長らしくない言葉。
驚きを通り越して、何かあったのかと疑いの目を向けたくなった。
そんな時・・・・
{ちゃんと付き添ってやれって言ってやれよ、部長さん!}
{・・・あ、ああ}
{頼りね~な。ちょっと電話貸せ}
{おい、ちょっと!!!!}
揉み合うような声が電話の奥で暫く続いてから
ガサガサと耳に響く音がした。
「もしもし、日詠さん?」
『森村?!』
部長と森村
接点がないはずのふたりがなぜ一緒にいるのかにも驚いた。