ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
現実なのか夢の中なのかはっきりしなかった俺。
『伶菜?』
名前を読んでみた。
返答はない。
それでも現実であって欲しいと願った俺は
彼女の表情を窺った。
目は閉じたままで変わった様子はなかった。
『気のせいか・・・・・』
俺は少々がっかりしながら再び上半身をベッドに伏せて目を閉じた。
もう少し眠ろう・・・そう心に決めたその時だった。
『・・・・・・・』
今度ははっきりと感じた。
それだけではなく
自分の指に絡まる指のひんやり感
・・・・そんな感覚をしっかりと感じ取った。
『伶菜!!!!! 伶菜!!!!!』
今度こそ見逃さなかった彼女の変化。
その変化が気のせいではなく現実であることを
確証として得たい俺は大きな声で彼女の名を呼んだ。
かすかに揺れた彼女の睫。
それに連動して動きそうな彼女の上瞼。
『伶菜!!!!!』
俺は大きく身を乗り出して彼女の表情を窺った。
上がりそうで上がらない彼女の上瞼。
『伶菜、、、、赤ん坊、生まれた。』
『女の子だ。お前に似てる女の子。』
『NICUにいるけど、元気になってきた。彼女も頑張ってる。』
『だからきっともうすぐ逢える。』
『だから・・・・・そろそろ目、覚ましてくれ・・・・・』
ただひたすら呼びかけた。
ずっと眠り続けていた彼女が聞きたかったであろう事柄を。
彼女の変化を逃したらいけないと俺は必死だった。
『伶菜・・・』
とうとう彼女が目を開けた。
それも俺は見逃さなかった。