ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
人工呼吸器が作動しているため、声は出せなかったが
俺をとらえるかのように彼女の目が動いたことも。
『おかえり・・・』
相変わらず気の利いた言葉をかけてやれない俺。
その代わりになるかわからなかったけれど
精一杯の笑顔で小さく頷いて見せた。
「・・・・・・・」
やっぱり返事はなかったけれど
ゆっくりと瞬きをしてくれた。
ずっと待っていたこの時が消えてしまわないように
彼女の指に自分の指を強く絡めた。
その指に再び弱々しい力がこもったのもちゃんと感じた。
伶菜が還ってきてくれたことを実感した瞬間だった。
安堵感
喜び
感謝
敬意
そして
愛しさ
還ってきた彼女に対するいろいろなポジティブな感情に埋め尽くされた。
この時は伶菜の家族として
難しいことを考えることなしに
このままその感情をグッと噛み締めていたかった。
それなのに・・・