ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



時間だけが過ぎるリスク

それは人工呼吸器を長期間繋ぎ、安静状態を続けることによって
全身状態に悪影響が及ぶこと

筋力や体力が低下する
免疫力も低下し、感染しやすくなり、肺炎に罹患したりすると命に関わる恐れもある
呼吸筋の筋力が低下すると、人工呼吸器の離脱だって難しくなる

できれば
人工呼吸器はできるだけ早く離脱させたい
そこまでは充分理解できる


『・・・・・・・』


けれども、心不全が不安定な状態である今の伶菜にとって、
それは難しいことなのではないだろうか?


心臓だけじゃない
肺だって良くなってきているとはいえダメージを受けているんだ

それなのになぜ?
なぜ今の状態で人工呼吸器を離脱させなくてはならない?

そう聞きたかった。
でも、聞けなかった。


今、伶菜の治療は
俺の手ではなく
目の前にいるICU医師に託されているから・・・・


俺がすべきことは
その人の説明を聞くことに徹すること
自分にそう言い聞かせICU医師の言葉の続きに耳を傾けた。


「心不全症状を軽減させるためにも、経口で栄養摂取させたい(口から飲食させて栄養を摂らせたい)と考えています。なのでNPPVの利用を前提として、一度、抜管してと考えているのですが・・・同意していただけますか?」

『・・・NPPVを利用し、呼吸状態が不安定なら再度挿管する・・・・ということですか?』

「そのように考えています。」


点滴だけで栄養を取るのをやめて口から食べるために人工呼吸器の機械を変えたいと考えているICU医師。


取り替えようとしているNPPV(非侵襲的陽圧換気療法)という方法

それはマスクで装着できるタイプの人工呼吸器を利用するため、取り外し・装着を簡単に行うことができ、意識がしっかりしていれば食事も摂ることができる
ただ、取り外しが可能な分、今使用している人工呼吸器よりも呼吸補助機能の安定性はやや劣る

それでも、意識レベルが上がってきた今、
呼吸状態の安定を重要視するよりも心不全を改善させるために食事によって栄養を摂ることを優先させたいという考え方だ


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