ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
もしこれが上手くいけば、全身状態の改善が進み、元気になれる
でも、もしやってみてやはり呼吸状態が悪くなるようなら、
再び今使っている人工呼吸器を利用する
つまり、それは再び挿管しなくてはならず、その場合間違いなく身体への負担は大きくなる
上手く行かなかったら逆に今よりも状況が悪くなるかもしれない
ハイリスク・ハイリターンにも
ハイリスク・ローリターンにもなる治療方針
どっちに転がるかやってみないとわからない
そんな状況
同じような症例の治療を経験している医師としての立場だったらおそらく
ICU医師が提示している治療方針を選ぶだろう
でも産科医師である俺は
人工呼吸器を装着するような重度の患者はER(救命救急)や循環器、呼吸器の医師に託しているから、ほとんど介入しない
だから医師としての経験からの判断なんてできやしない
しかも今、目の前の患者は
家族である伶菜なんだ
ハイリスク・ローリターンだった場合を考えると
死という結果だってあり得るんだ
「どうなさいますか?」
『・・・・・・』