ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina’s eye ケース26:イノチを導くヒト



【Reina’s eye ケース26:イノチを導くヒト 】



ナオフミさんの声が聞こえて。
ナオフミさんの心配そうな顔も見えて。

声が出ない私は彼の指を掴むのが精一杯で。
その指先に感じた彼の体温に安心して。
私は目を閉じた。


聴こえてくるナオフミさんと男の人の声。
何を話しているのか全然わからなかった。


でも、彼の声で
所々蘇る記憶らしきもの。


“18ゲージ、22・・・・”

“酸素5リットル。挿管準備・・・・”

“あとICU(集中治療室)へ至急・・・・”

“ミラクリッド・・・”

“伶菜は・”



内容なんて全然わからない
その後、どうなったのかわからない

ただ、はっきりと覚えているのは
ナオフミさんがすぐ傍にいてくれたということ。



そんな彼が

「心臓への負担を減らすために深めに鎮静をかけていたのですが、その度合いを昨日から少し変えているんです。」

「じゃあ、心不全の症状が良くなってきたということ・・・ですか?」

今も自分の傍に居てくれている。




「心不全症状を軽減させるためにも、経口で栄養摂取させたいと考えています。なので一度、抜管してみようかと考えているのですが・・・同意していただけますか?」

「・・・NPPVを利用し、呼吸状態が不安定なら再度挿管する・・・ということですか?」


お医者さんらしき男の人と難しそうな話をしながらも
すぐ手が届く場所に居てくれる。


でも難しそうなのは話だけではなく


「・・・少しだけ考える時間を下さい。」


抑揚のない口調でお医者さんらしき人にそう告げた彼。
彼の気持ちも難しいことに立ち向かわなくてはならない状況にあるように思えた。

< 344 / 367 >

この作品をシェア

pagetop