ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



いきなり森村先生によって引き上げられた私の左手。
どうやら結婚指輪の存在を示したかったようで。

ナオフミさんと私が結婚していることが公になってから結構時間が経つけれど
患者さん、病院スタッフ問わず、彼の人気ぶりは相変わらずで・・・

まだまだ臨床心理士としての実力不足を自認しているせいで、彼との結婚していることをわざわざアピールするようなことはしたくない私
そのため、病院で仕事している際には結婚指輪をペンダントのチェーンに通して首にかけるようにしているけど
今日は休日だから指輪を薬指に嵌めている

だから
伊達先生が結婚指輪の存在を知らずに混乱状態になるのは当然かも

でも
もしかして
私・・・森村先生と結婚しているって誤解されているんじゃ・・・・




「いて~よ!!!!!」


今度は掴まれていた左手首が放された。

私の左手を掴んでいた森村先生の手はというと
伊達先生にじっと視線を送っているその人に
掴まれてしまっていた。




「ダンナさまは俺。」

あぁ
なるべく内緒にして欲しいのに
そんなに堂々と公表しちゃって・・・・



「す・す、すみません。出しゃばった真似して。」

伊達さんは明らかに動揺していた。


「他の研修医の人達にも伝えて。伶菜の旦那様は俺だということを。」

「わ・わ、わかりました!!!!!必ず、絶対に伝えます。」


ナオフミさんは涼しげにそう言いながら伊達さんの肩を軽くぽんっと叩いている。


っていうか
涼しげを通り越して、冷たさが感じられるのは
気のせいかな・・・?


伊達先生
完全に怯えてるし・・・


「そうそう、研修医クン。あと5年後ぐらいには森村レイナになる予定ということも伝えろよ。」

「・・それは無理です。ホトケの日詠先生をもうこれ以上、ご立腹させたらバチ当たりますから!!!!!!!失礼しま~す。」

「ちょっと待てって!!!! オレはご立腹してもいいのかよ?おい、待てって、小僧。」


こうやって屋上が賑やかになったり
ドキドキハラハラさせられることもあるけれど。



「そろそろ、行くかな~。祐希、陽菜、明日はウチに帰れそうだから、お前らが帰ってきたら公園にでも行くか?」

「うん・・やくそくだよ!!!!」

「やく・・・ぱぱ♪」


ナオフミさんと子供達が約束の指きりをする姿に
ほっこりする瞬間もあって。


指きりをしている彼と目が合って
指きりをしていない彼のもう片方の手の指先で
“こっちへおいで” と誘うようなジェスチャーに
ドキッとする瞬間もあって。


「明日の昼休み。」

薬指を絡めた瞬間、耳元で囁かれ
さっきの看護師さんみたいに自分の頬も赤らんでいることが自分でもわかった。

こうやって赤くなってしまう頬は
お互いの薬指を絡めるという
ふたりだけの秘密の合図のせい。


それは



コンコン!!








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