ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei's eye カルテ4:inferiority complex
【Hiei's eye カルテ4:inferiority complex】
「日詠さん!!!!・・・・・おい、ちょっと!」
管理棟1階で出勤打刻用のタイムレコーダーにIDカードをスキャンした直後、背後で騒がしい声がした。
『・・・・・・』
聞き覚えのある声。
けれども、俺はとりあえず聴こえていないフリをしながらIDカードケースにカードを入れ戻した。
昨日夜、今度こそは伶菜を体の奥まで抱きしめたいと思っていたのに
寝室の豆電球の下で祐希の寝顔をじっと見ているうちにうっかり眠ってしまった自分に・・・ガッカリした今朝
それなのに
いってらっしゃいと言いながらキスをしてきた伶菜にやっぱり抱きしめたいという気持ちにさせられた今朝
でもそんな時間はなく、わずかに残ってたらしい理性によってなんとか出勤した俺
今日の俺は森村のちょっかいとかに付き合える気力がない
情けないけど
だから
聴こえていないフリをした
「おい、聴けって、おっさん!」
聴こえていないフリをしたのバレたか
それにしても森村
俺のこと、おっさん呼ばわりしやがって
このタイミングでおっさんと言われると
昨夜、眠ってしまった自分はやっぱりおっさんだと言われてるみたいで、溜息が漏れる
『なんだよ、朝っぱらから。』
「なんだじゃねーよ。レイナが・・・・」
「なんだと・・・・・」
森村から伶菜という名前を聞かされ
聞こえてないフリどころか、すぐさま彼をギロリと睨みつけた俺。