ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『森村!!!!!! ちゃんと言え!伶菜がどうした?なんで監査室のヤツなんかに連れていかれ』
「日詠さん!!!! 落ち着けって!」
完全にワケがわからなくなって森村の胸倉をガシッと掴んだ俺は
その彼になだめられていた。
いつもならそんなコトあり得ないのに
伶菜だって
監査室のヤツに連れて行かれるようなコトをするようなタイプじゃないのに
『あり得ないだろ!!!! 落ち着いていられるか!』
「ここで俺等がジタバタしたって仕方ないだろ!いつもスカした顔してるアンタらしくないだろ!!!!」
俺に胸倉を掴まれたままでも真っ直ぐと俺のほうを見ながら、毅然とした態度で俺にそう言った森村。
さすがに俺も息を呑んだ。
視線を彼から外すために視線を大きく横に逸らすことでなんとか冷静さを取り戻す。
『・・・じゃあ、なんなんだよ。』
「塩酸モルヒネを持ってった男・・・・ソイツがレイナのカウンセリングルームに頻繁に出入りしてたらしいから。」
塩酸モルヒネを持っていった男が
伶菜のカウンセリングルームに頻繁に出入りって
『森村、ソイツの名前って・・』
「なんてったっけな」
昨日、大会議室で大勢のスタッフに囲まれた白衣姿の男
少なくとも、手術室エリアですれ違ったことはなく、白衣をネクタイできっちりと着ているところから考えると多分外科系のドクターじゃない
だとすると・・・・
『前田っていう内科ドクターか?』
「そうそう・・・そうだ。前田って聞いた。まだ後期研修医らしいから、あの厳重なセキュリティーの薬剤保管庫を研修医がひとりで忍びこんでこじ開けるのは考えられないって・・あと、麻酔科にソイツと仲のいい先輩がいるってコトも。その人間も調査されてるらしいけど。」
少々下品だが、さすが社交的な森村
彼の広範囲に渡る院内情報網はこういう時は侮れなかったりする
『それで、伶菜も』
「調査対象になったワケ。」