ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



「日詠さん、どうするんだよ?監査室のヤツらに伶菜の無実を訴えてやるんだろ?」


『・・・・・・』


眉間に皺を寄せながらそうけしかけてきた森村。
俺よりも彼のほうが監査室に連れて行かれた伶菜を心配しているようで。

前田という人間のコトが気になるけれど
彼のおかげでようやく自分が考えなくてはならないことに目が向いた。

きっといろいろな不安を抱えてしまっていっぱいいっぱいなはずの伶菜のことを・・・



「なんだよ。一応、遺伝相談・・だっけ?それでチーム組んでるんだろ?」

『・・・・・ああ。』

「だったら(かば)ってやれよ。アンタの言うことなら病院幹部も信じるだろ?」

『・・・・・・・・・』


伶菜が関与していないコトを証明する確実な証拠が俺にはない
病院側にも伶菜と結婚している事実を伝えていない今、
俺には遺伝相談チームで“彼女の上司”という肩書きしかない

“高梨さんからは何の異変も感じられなかった”
そう証言するしか俺にはできない

そんな証言
どこまで信じてもらえるか
わかりゃしない


『・・・・・・・』

「もしかして、レイナになんもしてやれんの?・・・なんやソレ。」

森村は彼の胸倉を掴んでいた俺の腕を振り払いながら、突き刺さるような鋭い視線で俺を覗き込む。


『・・・・・・・』

「どういうつもりだよ!!!!!!レイナがどうなってもいいのかよ?アイツ、やっと臨床心理士になれたっていうのに・・・・」


そんなコトは充分理解してる
3年も勉強し続けたんだ
自立したいと言って俺からも離れて

だけど
伶菜はきっと
自分が監査室に疑われたコトに落ち込むよりも
前田というヤツのコトを気にかけるはずだ

もしも本当に前田という人間が
仕事上でも伶菜と関わりがあったのならば・・・・


だから

(かば)うことはできない。』


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