ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's  eye ケース5:不適格なジブン

【Reina's eye ケース5:不適格なジブン】



自分がいたカウンセリングルームのある病院本館と病院事務や経営部門のある管理棟を繋ぐ渡り廊下から見えた曇り空。
今にも雨が降り出しそうだった。


私をカウンセリングルームから連れ出した江草さんという人は黙ったままずっと隣を歩いていた。
そして白いドアを開け

「じゃあ、そこ座って下さい。」

低い声でようやく話しかけてくれた。


そこは監査部門面談室
6畳くらいの部屋に小さな机
それを挟んでパイプ椅子が2つ

それら以外は何もない
本棚も花も、そしてコーヒーメーカーも

そんな無機質な部屋にあるパイプ椅子に腰掛けた。


「高梨さん、早速ですが・・・」

江草さんももう一つのパイプ椅子に腰掛け、とても厚みのあるファイルを机の上に広げて話し始めた。


「この病院にはたくさんの医師が従事しているんですが、総合診療内科の前田医師はご存知ですよね?」

『・・・・ええ、知ってます。心理評価のオーダーとかでやりとりがありますので・・・』


突然出てきた前田先生の名前。
でも、なんでこんな所まで連れてこられて、なんでこんなコトを聴かれるのかよくわからなかった。


「じゃあ、今回の事もご存知ですよね?」

『今回の事、って・・・?』

「ご存知ないんです?今回の事を。」


おもむろに左手で頬杖をついた江草さん。


『なんのことだか・・・・さっぱり・・』


そう答えた私に目の前にいる彼の鋭い視線が刺さった。


「高梨さん、ご存知ないんですね・・前田先生がしていた事。」



まるで刑事ドラマに出てくる取調べシーンみたいな雰囲気
前田先生のことをまるで犯人みたいに話をする江草さんに対して同じ病院職員として違和感を覚えずにはいられない


『前田先生が何したんですか!!!!!』


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