ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活




「嘘もなにも、彼の腕には注射を刺した痕がいくつもあったんですよ。」

そう言われた瞬間、昨日の前田先生の姿がふっと頭を過ぎった。
可愛いネコのキャラクターがくっついたボールペンが出てきた彼の白衣の右ポケットではなく、反対側の左ポケット
そこへ勢いよく手を突っ込んだ瞬間の彼の強張った表情が。


『・・・・・・・・・・・』


もしかしたら、あの左ポケットにモルヒネ・・・・が?!

いつもとはちょっと異なりハイテンションだったのは
患者さんの経過が良かったからではなく
モルヒネの影響?!



『・・・・なんでそんなコト・・・』

「あまり多くは語って下さらなかったのですが、いろいろと悩みがあったようです。それで、モルヒネに手をかけた。」

『・・・・・悩んでた、んだ』


いつも私と会話している時の前田先生はそんな様子なんて全く見せていなかった
昨日の彼の一瞬の表情の変化はなにかの偶然とか私の気のせいとか思った

それなのに
モルヒネに手を出してしまうなんて
いつもの彼からは考えられないのに・・・

”高梨さんもボクもペーペーの新人!仲間!一緒に頑張っていきましょう!!!”
新入職員研修でそう語り合った仲間である前田先生
爽やかな笑顔で握手を交わしてくれた前田先生


そんな彼にこんな事件を引き起こさせてしまったぐらいの悩みは
いったい、何だったんだろう・・・?


なんで
なんで
なんで、、こんなコトになっちゃったんだろう・・・




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