ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Hiei’s eye カルテ5:she's superior?or she’s・・・・
【Hiei’s eye カルテ5:she's superior?or she’s・・・・ 】
薄暗い管理棟の階段を昇りきり、左に曲がったばかりの俺の視界には
森村が監査部門面談室のドアを蹴破って行く姿が映った。
俺も息を切らしながら、そこに駆け付けた。
やっとのことで辿り着いたのに、目の前には
伶菜の右腕を強く掴みながら江草さんに食ってかかる森村の後ろ姿。
伶菜はというと白衣姿なのに今にも泣き出しそうな見ているこっちが胸を締め付けられるような顔で。
前田という研修医が起こしてしまった事件についてを聞かされて
何かしてあげられることはなかったのかと
自分自身を責めている
・・・俺の想像通りのような気がした。
別に伶菜が臨床心理士として
自分の担当患者ではない前田を何とかしてあげなくてはいけない立場とかではない
そんな責任なんて全くないはずだ
それでも
゛自分が何とかしてあげなくてはならなかった・・彼のために・・・゛
きっとそう考えているに違いない
合理的に物事を割り切れない
不器用な人間
伶菜はそういう人間だ
不器用だけど
人間味に溢れている
だから俺は
彼女に惹かれたのかもしれない
そんな彼女を守るのは
俺じゃなきゃいけない
いや・・・・
俺じゃなきゃダメだ
それなのに
俺はこうやって完全に出遅れてしまって
伶菜の強さに頼ってしまったばかりに
ちゃんとした根拠のない疑いをかけられてしまった彼女を
真っ先に救い出すことができなかった
彼女の上司なのに
いや
彼女の夫なのに
何やってるんだ、俺・・・
なんでこういう時に彼女を
ちゃんと守ってやれないんだ?
俺は伶菜のことになると
なんでいつも
こうも要領が悪いんだろう?
「遅せ~よ。一番オイシイとこ、俺がいただいたから♪」
ニヤリと挑発的な笑みを浮かべた森村。
その瞬間、俺の頭の中で何かが弾ける感覚が沸き起こった。
このままではいけないという警告みたいな感覚にも襲われて。
『・・・・・ああ。遅い、、、よな?』
「わかってんじゃん・・・・でもさ。」
急に彼の笑みが消えた。
「俺はさ、主治医の役しかさせてもらえねーんだよな・・・・レイナに。」