ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
彼女を守るたったひとりの男でいようと決めたのに
すぐに手が届く場所にいるはずなのに
彼女を守るのがこんなにも難しいことだったんだろうか?
『わかった・・・とりあえず、行く、、、から。』
そう言いながらもどうしたらいいのか全然わかっていないこの時の俺は
伶菜の言うことを聞き入れるしかなかった。
自分で臨床心理士になったばかりの彼女をこの病院に引っ張って来てしまったくせに
自分がどういう立ち位置にいればいいのかわからなくなってしまった。
伶菜と一緒にいれば
彼女の夫という立場も
彼女の上司という立場も
上手くやっていけると思っていたのに・・・・
そんな情けない俺は、涙がいっぱい溜まって今にも溢れ出してしまいそうな彼女の目を親指で拭い、後ろ髪を引かれながらも彼女に背を向けて歩き始めた。
それからの俺は、自分がどういうふうにその日の外来診察業務をこなしたかを覚えていないぐらい
集中力も気力も見ず知らずの誰かに吸い取られてしまったような状態だった。
「日詠先生!!!!!!!」
背後から何度も、伶菜のものではない声に自分の名前を呼ばれ続けていたことを気がつかないぐらいに・・・