ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「ついさっき、覗いちゃいけないと思いながらもあなたと日詠先生のやりとりを見てしまったの・・・」
ついさっき
きっと早川室長も私がナオフミさんにぎゅっと抱きしめられた姿を見かけたんだ
「福ちゃんの言ってた通りね。“ナオフミくんはどんなことよりも伶菜ちゃんを優先してしまう。”って。」
早川室長が言う “福ちゃん”
それは産科病棟の看護師長の福本さん
私とナオフミさんが出会った頃から私達を温かく見届けてきてくれた人
彼の育ての父でもある私の父親が産科医師としてこの病院に勤務していた頃から、父の傍で助産師をしていた彼女
彼女は父の背中を夢中で追いかけていた幼き頃のナオフミさんも知っている
だから彼女はナオフミさんのことをきっと誰よりも理解している
「今までも日詠先生はあなたの存在を心の支えにしながら頑張ってきた。一緒に患者さんを救いたいという想いも抱きながら・・・・それなのにあなたが他の男のことでこんなにも動揺したら、間違いなく彼も動揺するわよ。」
『・・・・・・』
そして福本さんと長年交流がある早川室長もきっと
福本さんからの受け売りだけど、ナオフミさんの性格を把握しているはず
「そして彼はただのあなたの夫だけになるわよ。今の自分の公の立場を捨てても。それでいいの?」
ただのあなたの夫だけになる?
もしそうなったら、
一緒にご飯を作る時間が増える?
一緒に祐希とのんびりと旅行とかも行ける?
一緒に夜空を見ながらお酒を飲んだりもできる?
一緒に・・・
ふたりで過ごすプライベートな時間は増えるかもしれない
彼で満たされる時間も増えるかもしれない
いや、普通は
そういう時間があって当たり前
私もそういう生活に憧れを抱いていたりもした
だけど
本当にそれでいいの・・・?
『そんな、、、そんなのイヤです!だって彼と私は・・・』
彼とふたりで目指すものは
普通の生活とかそういうものなんかじゃなくて
彼と私でなきゃ叶えられないコトなんじゃないの?