ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『ったく、ひとりで泣くなって。』
「泣いてないモン・・」
本人は否定しているけれど
電話越しでもわかる
不器用だから隠せやしない
それに
他人が起こした不祥事がきっかけで自信をなくしてしまって泣くなんて
不器用にも程がある
でもきっと
それが伶菜なんだ
そんな不器用なところまでも愛しい
『ちゃんと一緒に泣いてやるから。』
だからとことん付き合おうと思う
俺も決して器用じゃないしな
「・・・ふえっ」
『・・・・・・』
どうやらそろそろ我慢の限界らしい伶菜。
それなのに
「泣かない、、、もん。」
不器用というか
心配かけないように泣くの我慢するなんて
どこまでガンコなんだよ
『ったく、バカが・・・・安心できないだろ?』
「えっ?」
『泣いた後の伶菜の強さ、よく知ってるから。』
「・・・・・」
俺だけが知ってる
彼女が流した涙が
彼女自身を強くしなやかにしているということを
そんな彼女の傍にいることで
俺自身が支えられてきたということも・・・
『だから、ちゃんと泣いとけ。』
「・・・う、、、う、、、」
『ちゃんと泣いて、俺をちゃんと安心させろ。』
再会したばかりの頃の彼女の涙には
ひどく心が痛み
うまく慰めてやれない自分が歯がゆくて仕方なかったけれど
今は違うんだ
もちろん心は痛むけれど
それと同じくらい安心するんだ
彼女が自分にちゃんと心を開いて
自分と向き合ってくれている
そう感じられて
ヒク、、、ヒクッ、、、、ウ~・・・・・
ようやく電話越しに聞こえてきた小さな泣き声は
やっぱり心が痛んだけれど
それでも俺に安心という感情をもたらしてくれたその声は
ずっとずっと聞いていたいぐらい
ただただ
愛しかった