ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
それから2時間後、病棟でカルテ処理をしていた俺のもとに笑顔の片平さんが現れた。
「日詠先生、こちらにいらっしゃったんですね?」
『ああ、探させてしまって申し訳ない。』
「いえ、別件でもこちらに用事があったのでいいですよ。ところで先生、できあがりましたよ。例のモノ。」
そう言いながら、片平さんは病院名が記入されている封筒を自分に差し出した。
「健闘を祈ります。」
色々と詮索されてもおかしくないのに、その一言だけですませてくれた彼女。
そんな彼女に今日も感謝せずにはいられなかった。
そして彼女から受け取った封筒をそっと開けて中身を確認した。
それをじっと見つめながら、伶菜のために自分がこれからやらなくてはいけないことを頭の中で唱えた。
こんなモノで自分の気持ちが伶菜に伝わるかわからない
しかも逆に彼女が戸惑うかもしれない
それでも一緒に前に進めるように、すぐ傍に見守っているから・・・・
そんな自分の気持ちもそれに込め、自分の着ている白衣の胸ポケットに忍ばせた。
そして勤務が終わる翌朝まで俺はそれを胸ポケットに入れたままだった。