ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
Reina's  eye ケース9:噂バナシの火消し人


【Reina's  eye ケース9:噂バナシの火消し人 】



ナオフミさんからの電話を切った後。
私は明日はちゃんと仕事に行けるよういつものペースで今日を過ごすよう心がけた。


「ママー、きょう、パパは?」

保育園へ祐希を迎えにも行った。


『今日は夜中もお仕事みたいだよ。』

「そっかぁ~、えほん、よんでもらおうとおもったのにな~」

『ごめんね・・・急な患者さんがいなければ、明日のお昼には帰ってくると思うよ。』

「じゃ、あした、ほいくえんからかえってきたら、あそんでもらお~っと!」



保育園の帰り道。
祐希がこうやってナオフミさんの所在を聞くのもいつも通り。

「ママ?」

『ん?』

「パパ、いなくて、さみしいの?」


でも、祐希にはいつもと違うのを見破られていたようだった。


『・・・そうそう。さみしいな~』


いつもと異なる理由はちょっと違うけれど。
でも寂しいという感情はいつもと同じかも。


「じゃあ、ぼくがいっしょにねてあげるね。」

『ありがと。・・ってあれ?・いつも寝てるじゃん・・・・』

「そうだった~。」


屈託のない笑顔でそう応えてくれた祐希。
この笑顔にも救われて。
この日の夜、私は祐希とともに眠りについた。



そして翌朝、私はいつも通り勤務している病院に向かった。
出勤打刻するために管理棟へ足を向けた。
いつも通り・・・のはずだった。


けれども


「あの人だよね?」

「確かそうじゃない?」

「ウソ~!!!!!その情報、ホントなの?」


事務職員さん達に後ろ指を差されるような気配がした。


身に覚えがないわけじゃない
昨日、監査室に呼ばれてしまったこと
しかもモルヒネ紛失騒動の最中に

でも、私はその事件には関与していない

だから、気にしちゃダメだ
頑張るって決めたんだから・・・


『おはようございます。昨日は早退してすみませんでした・・』

「おはよう。さ、今日から気分一新して頑張ってもらうわよ。」


臨床心理室スタッフルームのドアを開けた。
涼しげな表情をした早川室長から返ってきた挨拶と激励。


「早速だけど、産科の美咲先生から依頼が来てるわよ。高梨さんご指名で。」

『・・・私に、ですか?』

「そう。本当は昨日依頼が来ていて、あなたが不在であることを伝えたんだけど、美咲先生は是非高梨さんに、って。」

『・・・・・・・・・・』
< 83 / 367 >

この作品をシェア

pagetop