ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
突然聞こえてきた伶菜の声。
それは俺に向けられたものでなく、看護師の谷本さんや安田さんに向けられたものらしかった。
その声だけで俺は
自分が今、どうすべきかを掴めた。
このまま伶菜を見守ればいい・・・と。
伶菜ははっきり言って不器用だ
言葉巧みにすんなりと相手を納得させるタイプじゃない
けれども、彼女の一生懸命さが相手の心を徐々に伝わって、相手の心を揺さぶる
そして
相手は納得したくなってしまうんだ
多分、今回の件もきっとそう
ついさっきの伶菜の声
彼女が一生懸命になるスイッチが入っているような
そんな気がしたから・・・・
だからきっと俺は
伶菜をじっと見守ってやればいいんだ
「ごめんなさい!!!!!やっぱりスキなんです!!!!・・・・あっ、こんなところでそんなことを・・そうじゃなくて・・・・だから結婚したというか・・・・そうじゃない、そうじゃなくて・・・・あ~も~!!!!」
ところが、言いたいことがうまくまとまらないのか
とうとう深呼吸までし始めた伶菜。
なんだか目も泳いでいるみたいだし
もうどうしたらいいのかわからないんだろうな
真っ赤な顔の伶菜と目が合ってしまうと
正直なところ、助けてやりたくなるよ
“俺が彼女を必要としたから結婚した”
って俺がここで言えば、それで済むことなんだろう
でも
助けてなんかやらない
乗り越えてみろ
「私なんか・・・日詠先生の奥さんにふさわしくないってわかってます。だけど、やっぱり彼のことがスキなんです。だから・・・・・」
お前ならできるだろ?
伶菜なら・・・
「日詠先生と結婚したことを・・・・・どうか、許して下さい!!!!!」