ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
そう言った直後に勢いよく深々と頭を下げた伶菜。
呆気にとられた様子は安田さんだけでなく、
伶菜に対してキツイ言葉を投げかけていた谷本さんまでもが
伶菜の言動に圧倒されていた。
「それで、あの・・・・・」
それでもまだ伶菜は彼女達へ自分の想いを伝え続けようとする。
そうだよな
これだけでお前がこの騒ぎを終わらせようとしているとは俺も思ってない
自分で進むべき道を切り拓いて
自分でここでの居場所を作るんだ
いくらでもちゃんとここで見守っててやるから
「お力を貸して下さい。こんな私ですが、この病院のスタッフとして少しでもいいから患者さんを支えたいんです。どんな小さなことでも構いません。教えて下さい。どうか、どうか・・・・宜しくお願いします。」
そして瞳に力強さが戻った彼女は谷本さん達に再び丁寧に頭を下げた。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
伶菜に頭を下げられた谷本さん達はというと
いまだにじっと彼女を見つめることしかできていなかった。
俺にはこの時の谷本さん達の伶菜に対する視線が
彼女を睨みつけたりしているようには見えなかった。
むしろ妊婦さんを温かく見守る産科スタッフの瞳のように見えて。
谷本さんに結構キツイことを言われても
自分の言葉を紡ぐ
自分の想いを相手に伝える
敵意を抱いているはずの相手を
きっと味方にしてしまう
いや、そうじゃない
応援したくなる・・だな
それは俺が持ち合わせていない能力で
俺が惹かれずにはいられない
伶菜の魅力なんだろう
しかも彼女は
自分の衝動的な行動を後悔していた俺の気持ちまで
わかりやすい方法で救い上げてしまうのだから・・・・・