ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活

屋上から見えた空は真っ青で
いつもなら気持ちがいいはずなのに
その時はどうしてもそんな気持ちにはなれなかった。


そもそも俺は医局ですら、その前田という人物に会った覚えはない

総合病院であるこの病院
診療科目は多岐に渡っており、従事する医師もハンパなく多い
名前も顔も知らない医師の存在なんて当たり前

その中のひとりの医師が伶菜のところに訪れている
しかもあの狭いカウンセリングルームに・・だ

頭では“仕事上の用事だろう”とわかっているのに
でもイライラ感は増すばかり


そんな俺は少しでも息をつこうと
白衣の左ポケットからさっき売店でメロンパンと一緒に購入したほのかに温かい缶コーヒーを取り出そうとした。

でも左手に触れたのはやけにひんやりとした院内専用PHS。
その瞬間、俺の頭の中を占拠していたイライラ感。
それが俺に余計な考えを思いつかせてしまった。
< 9 / 367 >

この作品をシェア

pagetop