ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活



「伶菜さん、これからよろしく!日詠先生に近付く女がいたら、私が睨みきかせて追っ払ってやるから!」

笑顔全開で伶菜に右手を差し出し握手を求めた谷本さん。


「高梨先生、あっ、違う・・・・日詠伶菜先生。ウチの妊婦さん達のココロのケア、どうか宜しくお願いします。」

穏やかな笑みを浮かべながらそう言った安田さん。
彼女にも臨床心理士としての立場を認められたようで。

伶菜もようやく彼女らしい笑顔を見せてくれた。



上出来だ伶菜

日詠伶菜先生、か・・・・・
素直に嬉しいよ

自分の信頼しているスタッフにも
こうやって受け入れてもらえるとな
ウチのスタッフも最高だ



「そこの腑抜けも、しっかり仕事しないと伶菜チャンへの風あたりが強くなるからな!ちゃんとやれよ!」

その最高なスタッフの頂点にいる福本さんにシメられた。
福本さんは伶菜に対する俺の気持ちまでもさらし出すように仕向けた。

俺が自分から”彼女のコトがスキだ”と言葉にするよりも
うっかりスキだという気持ちをさらし出したほうが
よっぽど説得力があるんだと踏んだんだな


『・・・了解。』




さすがだな、福本さん

伶菜の、そして俺の親父である高梨拓志を
支え続けたスタッフ
伶菜を守るのは
俺だけじゃないってことを
改めて思い知らされた

ココロ強い

俺も福本さんの言う通り、ちゃんとしなきゃだな



でも、いつか
伶菜と俺で乗り越えなくてはならない壁にぶつかるだろう
伶菜が臨床心理士として経験を積んでいく上で
避けては通れないような壁に

俺はただ伶菜を見守るだけの今
福本さんや美咲に甘えようとしている今
・・・みたいな状況のままでいられなくなるだろう

俺がこうやってうすうす感じているぐらいだから
もしかしたら、伶菜も感じているかもしれない


俺と伶菜
俺達が中途半端な関係になっている原因が
乗り越えなくてはならない壁に大きく関与していることを・・・


だから俺は
いつか伶菜に
自分の立場を利用して彼女のココロを傷付けてしまうような意地悪をしてしまうんだろう


臨床心理士として成長してきた頃に
俺自身の手で・・・


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