ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


伶菜も美咲もいないNICUで
美咲とのやりとりを回想しながら、彼女や伶菜の今後のことを考えていた俺だけど
それでも俺は見逃したりはしなかった。


『副師長!救急カート、準備して。ストレッチャーは?』

「廊下にちゃんと準備してあります。」


ベビーをベッドに戻した直後の小柳さんの顔色から一気の血の気が引いてきていたのを。
おそらく急激に血圧が下がってしまったのだろう。


『小柳さん!!!!!』

転倒しそうになっていた小柳さんを間一髪でなんとか支え、抱きかかえた。


「日詠先生!ストレッチャー、こっちです。」


副師長に導かれながら、小柳さんをストレッチャーまで運びそっと寝かせた。


その後、しばらくして

「日詠、、、先生、、、、、なんで、、ここに・・・・?」

意識が薄らいでいた小柳さんが目を覚まし、彼女の傍で様子をみていた俺にそう問いかけた。


『ここに向かう姿を見かけたから。顔色もすぐれない感じだったんで。』

「すみ、、、ません、、、私・・・・日詠先生、ただでさえ、、、お忙しいのに・・・私、病棟、、、戻ります。」


堰を切ったかのように激しく涙を流し始めた小柳さん。



自分の体調なんか二の次で
ベビーの傍にいてあげたいという想いだけでここにやってきているのに


『ほら、ここからベビーを見ていてあげて下さい。』

「えっ?」

『小柳さんの体調はちゃんと僕が診てますから。アナタはベビーを。』



だから
病棟へすぐに戻れなんて言えないな
多分、ベビーの様子がちゃんと見えるこの場所にストレッチャーを用意してくれている副師長も同じ意見だろう



「日詠先生、ありがとう・・・じゃあもう少しだけこのままで」

『了解です。』

そして俺は
小柳さんが横たわっているストレッチャーに軽くもたれかかり、彼女のベビーを一緒に見守り始めた。

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