月 ~かぐや姫~
私はそっ、と満月に手を合わせた。



「この世は、何と悲しく、
冷たさに満ち満ちたものなのかしら。」



まるでこの月のようだわ、


という思いと、




呟きと、

涙が、

同時に私の心から零れ落ちた。




どんなに煌いても太陽のそれには到底及ばず、

私の体を温めてくれることはない。



どんなに手を伸ばしても決して届かず、

毎夜毎夜、気まぐれに姿を変える。



そんな不条理で、

意地の悪い存在と、

自分の名前が一緒だなんて嫌だった。











「私は月が大嫌い・・・」

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