月 ~かぐや姫~
そう言うおばあ様に、
私はますます頬を膨らませるとともに、
「外」への関心をますます強くさせるようになっていった。


時折外から聞こえる「キャー」という楽しそうな悲鳴や、
互いを愛称で呼び合う、私と同じ年頃であろう女の子達の甲高い声、

男の子たちのちょっと乱暴な仕草を連想させる声音や表現に頭がいっぱいになっていた。

私もあの輪の中に入りたい。

お花で冠を作ったり、「鬼ごっこ」とやらで走り回ったりしたい。

 
当時も今も、
接する人を厳しく制限されていた私の前に顔を出すことが許される者は極めて少なかった。

おばあ様と、

都と領地を行ったり来たりするため、めったにお会いできないおじい様と、


そして家人の中でも極めて少数のもののみが


私との目通りを許されていた。

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