月 ~かぐや姫~
おばあ様の説得に無知な私はすっかり納得していた。


表に出てはいけない。

なぜなら私は貴族の姫だから。

容易に下々の者と接してはならないし、
高貴な身分の姫を狙った誘拐に巻き込まれないとも限らない。


屋敷の者にも気安く姿を見せてはならない。

なぜなら貴族の姫が一生涯にその素顔を見せるのは、
両親とごく身近な側近と、
そして添い遂げるであろう愛おしい殿方のみなのだから。





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