お前は、俺のもの。
「凪さんを手伝いたいのですが、今日は弟たちの夕飯を作らなくちゃいけなくて…」
綾乃の両親は休日を利用して旅行している、と聞いている。彼女を困らせるつもりはない。
眉を八の字にしてしょんぼりしている顔に、できるだけ笑顔で手を振った。
「こっちは大丈夫だから。早く帰ってご飯作ってあげて」
私も疲れていないわけじゃない。
明後日の営業会議で使われる予定の資料を作成していたのだ。文章やグラフを含め十三ページの資料。
今では両目もショボショボしている。肩こりも酷い。お腹もすいてきた。
「はぁ…美味しいやきとりと、ホットアイマスクが欲しい…」
そう呟きながら、パソコンに向かった。