お前は、俺のもの。
終わっている。
慌てて着替えを済ませて戻った時には、鬼課長の姿はなくパソコンの電源も落ちていた。そして机上には十ページ分の入力データがプリントアウトされた発注リストが綺麗に纏められてクリップで留めてある。
か、完璧だ。
書類を眺めていた私に、「支度は済んだか」と声をかけられた。
鬼課長はビジネスバッグを片手に、帰り支度を済ませている。
「一ノ瀬課長、プリントアウトまでして頂きありがとうございました」
と、再度頭をさげる。部署が違えど上司である。
彼はじっと私を見ていたが、カバンを持ち直すと、
「腹が減った。飯に付き合え」
と言い残して、長い脚でさっさと事務所から出ていく。
──え?一緒にご飯??
「早くしろ」と、ドアで待つ彼に、私はすぐに机の下からカバンを取り出して彼の元へ急いだ。