お前は、俺のもの。

鬼課長はモデル顔負けのイケメンだ。きっと今まで可愛くてステキな女性を相手にしてきたはずだ。なぜなら、少し強引だけど女性に対する所作に慣れていると思ったからだ。きっと、あの川添穂香も同等、それ以上に鬼課長にリードされていただろう。外出先でも、ベッドの中でも。

そんな男に「私は処女です」なんて言えるわけがない。

ここで「お昼ご飯作ります」と言えれば、この状況を上手く誤魔化せるかもしれないのに。

「ぐぐうぅぅぅ…」

空腹に耐えられず悲鳴を上げた、私のお腹。
鬼課長が目を丸くして、私のお腹に視線を落とす。
すると、
「キキュルルル…」
と、控えめに鳴く、私とは違うお腹の虫。
彼の視線が自分のお腹へ移り、私も連られて目を向ける。
そして、同じタイミングで顔を見合わす。

「…ぷっ。あはははっ!」

玄関先で笑いだした私たち。
「腹減ったな、飯にしよう。パスタ作るの、手伝って」

鬼課長は顔をクシャッと緩ませて、私の頭を撫でた。
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