お前は、俺のもの。
しかし俺は面白くもない食事の席で羽目を外してワインを飲みすぎ、食事をしたホテルのフロントで記憶が途絶えてしまった。
気がついたら、朝だった。
どこかの部屋のベッドの上、俺は下着一枚の格好だ。
そして信じられないことに、隣で川添穂香が下着姿で寝息を立てていた。
起きた彼女から話を聞くと、昨夜は俺が泥酔して帰ろうとしたが、フロントの前で気分が悪くなり「泊まっていく」と言い出し、チェックインをしたという。
その後部屋に入るなり、彼女に「好きだ、付き合ってくれ」と迫って体の関係へと流れたらしい。
「私たちが合意だったこと、覚えてないんですか。一ノ瀬主任は私に告白してくれて、キスして抱かれたのに…」
そう言って泣かれてしまったが、なんとも記憶がないだけに厄介な証言だった。
川添穂香の淡いピンクの下着姿、余分な肉がない細い体。
俺は眉を潜めた。
だが、「使える」と思った。
確かに記憶がなくなるほど酔っ払ってしまったのは、俺の大失態だった。そのため目の前の女に隙を与えてしまい、嘘か真かわからないことを言わせておくしかなかった。
悔しいので、俺も釘を刺すことは言っておいた。
「あなたとの一晩を覚えていないのは、俺の落ち度です。申し訳ありません。「体の関係があった」とあなたが言うなら、そうなのでしょう。俺があなたに「付き合ってくれ」と言ったのであれば、付き合いましょう」
川添穂香はシーツを握りしめて嬉しそうに笑った。