お前は、俺のもの。
横一列に貼り出された四枚の辞令に、言葉を失った。
関口由奈 総務部庶務二課へ異動。
小堺るみ 一ヶ月出勤停止の後、販売部へ異動。
市村 慶太 役職を解き三ヶ月の出勤停止の後、提携会社寿クリーンサービス(株)へ出向。
川添 穂香 諭旨解雇。
川添穂香が、解雇。ショックだった。
「ど、どうして…こんな。処分が重すぎるんじゃ…」
声にする言葉が掠れてしまう。
斉木課長は至って冷静な態度だ。
「そうだよね。何も知らない、客観的に彼らを見ている人にとっては、そう思うよ」
「私は客観的になんてっ…」
慌てる私に、軽く肩を叩く斉木課長。
「満島、落ち着いて。オレはこの処分は妥当だと思っている。思い出してごらん。どれも彼らの行いは業務上、会社にデメリットを与え、尚且つ満島に殺意のある行動が明らかになったんだから」
「…さ、殺意…?」
すっかり動揺している私。
市村係長をはじめとした四人の彼らの業務上の行いについては、鬼課長から長野の、あの車の中で概ねの話は聞いている。しかし「殺意」という言葉に繋がることは聞いていないはずだ。
鬼課長が、まだ私に言っていないことがあるのだろうか。
斉木課長は私を促して「こっちへ」と、裏手にある商品の在庫置き場へ移動した。
「座って」と、丸い椅子を勧められて、ゆっくりと座る。
彼はスマホを取り出すと電源をオフにした。