お前は、俺のもの。
「そう。ペンダントライトとスタンドライトはマグカップ同様、お前のものだ。ただし条件として、俺の質問に「はい」と答えた時だけだ。と言っても、お前の逃げ場はないけどな」
余裕そうな笑みを浮かべ、私は小さなドキドキを胸に気持ちがオロオロしている。
「一体、どういうことですか。餌付けとか、逃げ場はないとか…」
落ち着きがない私に、鬼課長は私の両肩を大きな手で支える。
「お前の両親には既に承諾を得て、後日改めて挨拶に行く。俺の親父は強引に納得させ、母は凪の名前を出したら小躍りして喜んでいたよ。親父は母に頭が上がらないから、心配はいらない。外堀は固めたから「お前の逃げ場はない」と言ったんだ」
自分の呼吸が少しずつ荒くなっていくのがわかる。
──こ、これは、もしかして。
心の準備が、まだできていない。
鬼課長の見つめる視線が、熱い。
「俺が本気だということ、わからせてやるよ」
ダイニングのペンダントライトの灯る下で、向かい合う私たち。