お前は、俺のもの。

以前、鬼課長と川添穂香は恋人だった。
2人は会社の公認であり、結婚説まで浮上していた。
しかし突然の破局。
理由は鬼課長の、社長である父が選んだ婚約者が現れたからだ。婚約者という女性は少し気難しい性格らしく、川添穂香の身を案じて悲しみながら別れた、という噂がある。
これはそれほど昔ではなく、去年か一昨年程前の事だった。

それにしても。
二人は別れる直前まで愛し合っていたと聞いていたが、今は妙に鬼課長の不機嫌さが気になった。

「凪さん、はやく食べましょう」
綾乃に声をかけられ、私は慌ててご飯をかき込んだ。

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