お前は、俺のもの。
「満島。これをこの名刺の人宛に宅急便で送付して欲しい。送り状のコピーは営業企画の送り状ファイルに綴るように。小堺に聞けばわかるから」
「わかりました」
「今から一ノ瀬不動産へ行ってくる。何かあったら携帯に連絡くれ」
「わかりました」
目を合わすことなく機械的に返事をする私に、横で軽いため息が聞こえる。
「仕事中だ。不貞腐れるな」
と、彼の声にムッとして振り向いた。
「それはっ。い、一ノ瀬課長があんなこと言うからっ…」
と、言い終わる前に。
ぽん。
頭を、大きな手で撫でてくる。反射的に視線が下へ向いていく。
「じゃあ、あとはよろしく」
頭の上の手が離れて、見上げた時には、鬼の後ろ姿が見えただけだった。