お前は、俺のもの。

私は言われたとおりにカウンターに送り状を置き、
「じゃあ、お願いします」
と言って部屋のドアから出た。
ちょうどドアを開けた時、営業企画の笹島主任とすれ違って、お互いに挨拶を交わした。
送り状のコピーは小堺るみに任せた。

私は二通の封筒と、デスクの引き出しに忍ばせていたチョコレートの箱を隠し持ち、
「綾乃ちゃん、配送部に行ってくるね」
と、声をかけて事務所を出た。


終業時刻、今日は特に急ぎの仕事もないので、綾乃もデスクの上を片付けているのを見て、一緒に終われそうだと思った。
由奈も書類をコピーして社員に渡し、そのまま内勤を言い渡されている河野くんとお喋りしていた。
鬼課長はまだ出先から戻っていないが、特に連絡することもないので、帰ることにした。
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