お前は、俺のもの。
コンビニで買い物をして戻ると、事務所の前で呼び止められた。
「満島さん」
そこには配送部の二人の女の子がランチバッグを持って立っていた。私は時々差し入れしている彼女たちに「お疲れ様です」と微笑む。
二人は「大丈夫ですか」と近づいてくる。
「さっき食堂で小堺さんが満島さんのことを…その、酷い言い方をしていたので」
と、彼女たちは心配そうな顔をしていた。
「小堺さんが「自分たちが先約していた上司たちを横取りした」って、大声で話していたから」
と、声を潜めて教えてくれる。
由奈と小堺るみの朝の態度を見れば、予想もつくことだった。鬼課長と市村係長のことは、私が誘ったわけでもなく横取りしたわけでもない。
それより他の社員のお昼休みという貴重な時間を不快にさせたことが申し訳ないと思った。
「せっかくのお昼休みなのに、変なこと聞かせちゃってごめんね」
私が謝るのも変だが、自分の名前が出ている以上「関係ない」とも言えなかった。