お前は、俺のもの。

彼女たちは首を横に振る。
「私達は彼女の言うことを信じていません。だから満島さんも気にしないで普通に仕事していればいいんですよ」
と励まされて、少しだけ元気になれた気がした。


「ただいま戻りました」
外出先から帰社した社員の声に気がついて壁の時計を見上げると、十七時になろうとしていることに「ハァ」と息をついた。

鬼課長が作り出したモデルルームの空間、内装から家具から想像しておおよそのイメージが頭の中に湧いた。

「静かな時の流れを堪能する、大人の時間」

コンセプトとしては、これに近いものだろう。
基本モデルルームだからシックで高級感を漂わす「見本」としては十分だろう。
しかし。
「うーん…」
唸る私。

「あ、モデルルームの内装が決まったんだね」

突然後ろから話しかけられて、「へ?」と抜けた声が出てしまった。
そこには、市村係長が手を軽く横に振りながら「驚かせてごめんね」と苦笑していた。私も「い、いえ。お疲れ様です」と、ペコリと頭を下げた。

市村係長は図面を覗き込む。
図面には、どこに何の商品を使うのかが書き込まれているため、そこにカタログのカラーコピーした写真を一緒に貼り付けていた。
市村係長は口に手を当てて、ポツリと言う。
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