お前は、俺のもの。
千堂 紗羅。
大手設備メーカー千堂設備機器の取締役社長の娘。白い肌の小顔にくっきりと引かれたアイライン、長い睫毛、赤い口紅。
今日は山吹色の鮮やかなスーツを着て、タイトスカートから伸びる細くて長い足を惜しげも無く晒していた。
──今にも折れそうな、細い足。
自分の半分くらいの足の細さに、無意識に目がいっていたようだ。
「あなたは、何か用?」
訝しげに見てくる千堂紗羅に、ハッと顔を上げた。
鬼課長に「お前も来い」と言われてここまで来たが、自分が何をすべきかわかっていない。私を睨むご令嬢が威圧的に感じた。
「紗羅さん」
鬼課長が呼んだ。
「私達はこの時間、仕事をしています。まだこれから彼女と商品の確認をするためにショールームへ同行してもらいました。あなたとの時間は落ち着いたら改めて作りますので、お父様が心配される前にお帰りになった方がいい」