死者の時間〜最期のメッセージ〜

「そうですか……。貯水槽の近くにあなたの教科書が落ちていたのは……」

「……く、桑原くんから……奪われたから……です……」

その後も如月刑事の質問に、朝日奈美紅は怯えながら答えていく。朝日奈美紅の肩には女子生徒がずっと手を置いていた。

「ご協力、ありがとうございました」

如月刑事がそう言い頭を下げると、女子生徒たちは「よかったね〜」と朝日奈美紅に声をかける。しかし、朝日奈美紅は安心した表情を見せるどころか、何かに怯えるような表情をしたままだった。



「なんか怪しいですよね！朝日奈さんとあの友達の関係……」

屋上から降りている間、原刑事が首を傾げながら藍に話しかける。藍も違和感をずっと感じていた。

「朝日奈さんは何か言いたいことがあるんじゃないかしら？でも、さっきはどうしても言えなかった」

「言いたかったけど言えなかったこと？」

如月刑事が振り向き、藍に訊ねる。

「これは私の想像ですが、朝日奈さんとあの三人は友達ではないのではないでしょうか？朝日奈さんはずっと怯えていましたし、あの三人は……どこか朝日奈さんを監視しているようだった……」