死者の時間〜最期のメッセージ〜
ミッドナイト
「藍!こんなに体を冷やして……。お前は何をしていたんだ!!」

びしょ濡れになった藍を見て、如月刑事は慌ててタオルを渡す。原刑事も「大丈夫ですか?」と訊ねた。

桑原悠河はしばらく泣いた後、「ごめんなさい」と謝って走って行った。

藍はゆっくりと立ち上がり、校舎へと向かった。そして今に至るのだ。

「如月刑事、原刑事、少しいいですか?」

藍はタオルで体を拭きながら、桑原悠河から聞いた話を二人に話す。原刑事は「陸人さんの弟!?」と大きな声を出した。如月刑事が呆れる。

「馬鹿!!さっき弟がいることなどがわかっただろう!!」

その後、藍を見つめながら如月刑事は言った。

「虐待の一種に、著しく兄弟差別をするというものがあります。桑原陸人は心理的虐待と身体的虐待を受けていたということか……」

「その可能性が高いわね……」

藍は呟いた後、くしゃみをする。如月刑事が「これを羽織っておけ」と来ている上着を脱いだ。
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